【日本時間20日午前3時に発表したFOMCでのまとめ】
FF金利の誘導目標を市場予想通り4.25ー4.5%(中央値4.375%)に据え置き。2回連続据え置きとしました。
ドットチャートは、2025年末時点の政策金利中央値3.875%、2026年末時点の中央値3.375%、2027年末時点中央値3.125%と、昨年12月と全て同じ見通しとしました。
FOMC声明では、4月からバランスシートの縮小(量的引き締め)ペースを緩めるとし、米国債減少幅を250億ドルから50億ドルに縮小。(昨年6月は、米国債を600億ドルから250億ドルに縮小しています。)
そして、経済見通しをめぐる不確実性が高まっていると指摘しています。今回は、幾度も『不確実性』を使用していました。
パウエルFRB議長記者会見では、不確実性が『異常なほど高まっている』と指摘した上で、『われわれは行動を急ぐつもりはない』と述べました。『状況がより明確になるまで待つ』ことが現時点では適切だとも述べています。
そして、同氏は、インフレがより持続的と判断した場合の政策引き締め、失業率が上昇し始めた場合の政策緩和という行動する用意があると強調していました。
正直、2025年末時点の政策金利見通しを2回利下げから1回利下げに修正すると予想していましたが、結果的に全て据え置きました。この背景にあるのは、やはりトランプ関税による不確実性のようです。
唯一、ハト派的だったのは金融引き締めのペースを緩めるということだけです。あとは、ほとんど何も変わっておりませんでした。パウエルFRB議長の記者会見で指摘していました『インフレ』、『失業率』が今後の重要指標になりそうです。おそらく、マーケットは、このワードに反応してくることでしょう。
つまり、CPI(消費者物価指数)コアや米雇用統計の失業率、新規失業者保険申請件数などが、今後の重要イベントになりそうです。
※インフレ上昇・高止まり=年内1回利下げ=ドル高・円安。失業率上昇=年内2回~3回利下げ=ドル安・円高。という構図。パウエルFRB議長は、米国経済は好調、労働市場は堅調と述べているため、景気指標が好調であるのを前提としたうえで、不確実性要素がどのような影響をもたらすかというのがFRBの見解になります。よって、景気指標が悪化した場合は、ドル安・円高になりやすいのも事実です。
ドル円に関しては、市場が3回利下げを予想したことで、3月7日に147円を下回りました。ただし、今回のFOMCでは、年2回利下げ見通しを公表したことで、147円を下回るにはネタ不足になります。しかし、その一方、年2回利下げ見通しとなっており、150円を上回るのも今のところ困難と予想します。
よって、ドル円は148円~150円のレンジと予想し、米国政策金利見通しが年内3回利下げとの思惑が強まると、145~146円までのドル円を予想。年内1回利下げ見通しの思惑が強まると、151円~152円までのドル円を予想。それに加え、投機筋が円買いポジションを膨らませているため、円安に対する反応は予想以上になるかもしれません。
ちなみに、昨年7月に、私は円高に対する注意喚起をしました。その理由としては、投機筋が円売りポジションを膨らませていたからです。今とは逆の行動を投機筋がとっていました。
※これだけは、常に覚えておいてください。どの金融商品に対しても海外投機筋のポジション動向が重要です。たとえば、投機筋が円売りポジションから円買いポジションに転換したとします。ポジションの転換であるため、円買いポジションを膨らませる可能性があります。そうすると、為替は円高トレンドを形成しやすくなります。ただし、ある程度、同筋がポジションを偏らせた場合、その巻き戻しが出ることで、円安に動きやすくなるというシステムは、今も昔も変わりません。
つまり、再三私が投機筋のポジションが重要とお伝えするのは、このようなポジションの偏りがリーマンショックや、コロナショックなどのショック安を招く原因だからです。ポジションが偏っていない場合は、同じ材料でも反応は限定的になります。