1200ドルでは、需給がタイトになっている可能性があります。

キャプチャ

 上記のチャートは、NY金の週足になります。注意して見ていただきたいのは、今回の下落です。4月11日に1369.4ドルを付けてから、8月16日に1162.7ドルまで、5か月間で206.7ドル下落したことになります。この下落は、ドル高・ユーロ安、米長期金利上昇により投資資金がドル・国債などに向かったため、米ETF保有残高が減少したことや、米朝リスクが緩和されたことなどが要因でした。

 本日のコメントは、今現在でも米ETF保有残高の減少が止まらない中、さらなる下値があるのか検証していきたいと思います。

 まずは、4月1日時点の米ETF保有残高は852.31トンでしたが、昨日10月3日には731.64トンと120.67トン減少しました。この水準は、2016年2月19日以来の低水準です。因みに、2008年リーマンショックから米ETF保有残高を見ますと、2015年12月17日に630ドルまで減少しました。

 さて、話は戻しますが、120.67t保有残高が減少したことと、4月にトルコ・リラ下落に伴い、トルコ中央銀行が金保有のうち359.50t売却したことが、今回下落した本当の要因と考えます。トルコ中央銀行は、5月から徐々に金を購入していたため、4月以降の金保有残高の減少は353.56tになります。何を言いたいかと言いますと、ETFとトルコの売却により、474.23tが市場に放出されたということになります。ただし、各国中央銀行は、金保有残高を増加させておりました。代表的なところでは、ロシア中央銀行です。4月以降、ロシア中央銀行は、79.31t金を購入していました。続いて、カザフスタンですが、16.39t増加。インドは、14.93t増加しておりました。(4月~7月までの数字を合計したものになります。)

 これらを差し引いても、363.6tマイナスとなります。中国政府は非公開であるため、中国の金購入は確認できず、しかも8月・9月の報告はまだ入っておりません。安値を付けたのが8月であるならば、恐らく各国中央銀行は、更に金保有残高を増加していると考えております。既に200ドル以上高値から下落していることを考えますと、今後NY金1200ドルを大きく下回るようには思いません。ましてや、NY金市場におけるファンドの売りポジションが1200ドル近辺で居座っていること、東京市場に関しては一般投資家が買いポジションを減少させ、売りポジションを膨らましていることから、東京金の上昇期待はできると考えております。よって、買い方針は継続とします。

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